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  • 執筆者の写真nigetasakana1231

フレームアウト

ボツ曲集と言いながらも、本当の意味でのボツ曲はこの曲だけかもしれない。1番を頑張って作って疲れてしまって「何もしたくない2番も作りたくない」となってしまったので、1番しかありません。1サビ後でいきなり終わります。まさにボツ曲。

そんな曲入れるなよと言われるかもしれないけど、そういうアルバムなので大目に見てください。


仕事がしんどすぎて、本当に何もしたくない時期に無理矢理歌詞を書いたら、こんな曲にしかならなかったので、翌年転職しました。仕事がキツいと本当に何も出来ない。ほんとに音楽どころじゃない。帰ってご飯食べて寝るだけ。休日は文字通り何もしたくなくなる。

だけど、そんな日々もまぁ僕の人生の一部なので記録として残しておいてもいいのかなと思えたので、今回収録する事に決めました。

そんな日々が無駄だっのかと言われたら、こんな曲が出来た時点で無駄ではないし、その時には見えなかった、見たくもなかった未来が今ここにあるのは、その時に必死に耐えた僕のおかげだから、せめてその時期の僕の曲をアルバムに入れる事で自分にお礼がしたかったのかもしれない。


フレームアウトという言葉には、ジェット機のエンジン停止の意味と、映像の中の人物が画面外へ退場する映像制作用語としての二つの意味がある。

その頃の僕は完全に心のエンジンが停止してたし、人前に出て演奏する元気も、SNSを再開する勇気もなかった。

よく、比喩表現として自分はパニック映画の冒頭で画面の端っこで死ぬ脇役みたいだという歌詞があるけど、画面にギリギリ入ってる時点で、スタッフクレジットの最後の方にきっと名前は乗るだらう。

僕の人生はきっと画面にすら入らないし、スタッフクレジットに名前が乗ることもない。パニック映画の冒頭で殺される脇役には、ちゃんとその脅威を引き立たせる役割がある。だけど、僕は誰も見ていない場所で、勝手に絶望して勝手に死んでいく、その他大勢なんだと思う。それに画面に映らないなら、きっと何かを引き立てる為に死ぬ役割を演じる必要もない。毎朝起きて歯を磨いて会社へ行って、帰ってご飯を食べて、休みの日には家でゴロゴロしながらゲームをして。そんな何でもない日常を永遠に繰り返していても、誰にも文句は言われない。そんな映画退屈だと言われることもない。だって、カメラは回っていないんだから。


だけど、今の時代。誰に出演をオファーされた訳でもないのに、みんな必死で自分自身をカメラに映している。馬鹿な事をやって炎上するyoutuberはもちろん、顔を出さなくてもSNSで自分の考えを述べたり、日常の出来事を報告する人も、言わば自分から画面に進んで映りに行っているわけだ。誰もが見れるインターネットという、超大作映画のキャストとなり、それぞれの役を演じているのだ。


そして、時にはその役を演じるのが辛くなって、自ら降板して、画面の外でひっそり残りの人生を過ごす人もいる。主役級になれる人間なんてのはほんの一握りで、大勢に認められないなら画面に映る意味がないと言う人もいる。最初から画面に映る事に全く興味のない人もいる。

ミュージシャンの中にも画面に映るのに必死な人もいれば、全く興味のない人もいる。僕は多分、元々興味のない部類の人間だったんだと思う。

だけど、周りの音楽やってる人はみんなSNSやってるし、ライブをするのも今やSNSでの宣伝が必須になってしまった。そもそも、誰かに曲を聞いてもらうには画面に映るしかない。画面の外、自分の部屋で音楽を流したって誰にも聞こえないのだから。


だから仕方がない。だけど、画面に映るのが必須だとしても、僕はそこで自分以外の何かを演じたくはないなと思う。主演になれる要素が何一つなくても、僕は僕のありのままを映していたいし、画面の外だろうが中だろうが、僕は僕でいたい。何もしたくない時のダメな自分も、こうやって文章を書いている自分も、ステージで歌っている自分も全部自分だと言える自分になりたい。他の誰かを演じている感覚を抱いてしまうと、途端にしんどくなってくる。だから、画面の外に逃げて一生寝ていたい気持ちになるんだけど、きっとそれすらも画面に写してしまえる勇気を持てたなら、僕はもうどこに居ようが僕自身なので、悩む必要もなくなるんじゃないかな。


画面に映るなら良い見た目じゃないといけない。多くの人に見てもらわないと価値がない。だから、僕らは自分を殺して他人を演じるけれど、きっとそれがこの世界の生きづらさの原因なんだと思う。

僕は本当に見た目に無頓着で、別にパジャマのままライブしてもいい人なんだけど、世の中はそうではないらしい。ONもOFFもなくなってしまえば、もっとみんな生きやすくなるのにな。と思う。

短い曲の割に意外と文章は書けてしまったから、実はそれなりに思い入れがある曲なのかもしれない。またライブでやってみようかな。

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