聞けば聞くほど良い曲だよなぁと自分でも思う。とても頑張って作った覚えがある。でも、地味な曲だから聞く人によっては眠たくなる曲だとも思う。
2回目のバンドのレコ発企画で、ダブルアンコールをもらった事をずっと忘れられない。憧れのバンドとも対バンして、みんなから祝福されて、メンバーとも「やっとスタートラインに立てた気がするね」と、笑いながら深夜のラーメン屋でラーメンをすすった。
そして、次の日からはまた何にもない日が続いて、色んな事が起きて、いつの間にかバンドは活動を休止した。
あの日が人生のハイライトだったのは間違いない。そして、あの日に想いを馳せない日はない。大人になれない僕らが、最後に許された時間だったのかもしれない。みんな、生活に埋もれて見えなくなってしまった。でも、僕からは見えないだけで、みんながそれぞれ日々を生きているんだよね。
それってなんだか、とても愛しくて寂しくて、まるで何も植えられていない花壇に、ただ生活という土が盛られていて、知らない間に雑草が生い茂っていくような無常さにも似ている。
そう、結局のところ日々はそこにあって、僕らは人の目を楽しませるような花は咲かせられなかったけど、今も土に根を張って生きている。
セイタカアワダチソウという黄色い花を咲かせる雑草がある。癌で余命宣告を受けたという、妻のとある友人はこの花が好きだと聞いた。
生命力が強くどこにでも群生するので、普通の人から見ればただの雑草でしかない。その話を聞くまで、僕は田舎でよく見るその黄色い花がそういう名前である事すら知らなかったけれど、僕もなんだかその雑草が好きになっていた。
今よりもう少し涼しくなった頃。また故郷の空き地で、たくさんの黄色い花が秋の風に揺れる景色を想像しながら、僕は今日も電車に乗っている。
12/13 追記
この文章を書いたのが9月くらい。まだ暑さの残る季節だった。昨日、凍える車内でカナイさんと何気ない電話をするようなコラボ配信でこの曲を歌った。確実に季節は巡っていく。カーテンコールが鳴り止むように。夜が朝になるように。そんな目眩く日々の中に、こんな歌をそっと風に添えるように。そんなふうに歌い続けられたらいいな。
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