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執筆者の写真nigetasakana1231

もしも僕が僕だったなら

僕の半生をそのまま歌にした曲で、僕が今まで作った中でも1番長い曲。しかも、ほぼ同じフレーズの繰り返しという退屈極まりない曲だと思う。ほんとにここまで、聞いてくれただけでも疲れただろうに。まだ10分もこんな曲に付き合わせてごめん。でも、この曲をアルバムの最後にしようとずっと思ってたから、もう少しだけ聞いてて欲しいな。


思えば僕の20代は本当に色んな事があって、こうやって曲にして話せばかなり波瀾万丈に聞こえるだろうけど、月並みな誰にでもある失敗と挫折だったとも思うし、それを経験出来ただけでも価値のある人生だったと今となっては思う。そんな風に思えるのは、あれから時間が経ったからで、その時は自分は世界で1番不幸なんじゃないかとも思ったし、こんなにも上手く生きれない自分は、欠陥品なんだと自分を責めてばかりだった。


だけど、そんな自分を救ってくれていたのはやっぱり音楽で、お金もなくて仕事がしんどくて恋人もいなくてバンドも上手くいかない。ヘトヘトの夜勤帰りに布団に突っ伏して、あの頃好きだった曲をウォークマンで爆音で聞いて涙を流しながら眠ったあの頃があるからこそ、僕はこんな曲を作ってこんな文章を書いている。それが素晴らしい事なのかは分からないけれど、少なくともそんな悔しさや苦しみに寄り添ってくれた音楽に僕は感謝しているし、僕も音楽を作って、あの頃の自分のままの気持ちで生き辛くても、自分のまま生きて行く事が、その音楽に対する恩返しだと思う。

そして、それを聞いてくれた誰かにも、ダメな自分のままでも生きて良いんだという証明を与える事が出来たならと、今でもやっぱり思ってしまうんだ。


この曲は自分の事しか歌っていない。どこまでも、個人的で僕の事を知らない人が聞いても、意味が分からないと思う。こんな曲が知らない誰かを救えるなんて、到底思ってはいない。ただの不幸自慢にも聞こえるだろうし、エンターテイメント性なんて皆無だ。

ただ、これが僕なんだと言っているだけ。世界中に60億人いる人間の中の日本で趣味で音楽を作っている有象無象の普通のアラサー男性の話。どんなに良い曲も、ネットの海に沈んでいく。人気があったバンドも、新しい音楽によって、どんどん埋もれていく。この世界には常に新しいモノが生まれて、古いモノや人気のないモノは排斥され淘汰され埋もれていく。そんな世界で埋もれないように、常に不安定な死体の上に立って、ここにいるよと笑顔で手を振るその光景は僕には狂気にしか見えない。


だから僕は埋もれたままでいい。ナンバーワンでもオンリーワンでもなくていい。その他、大勢の景色の一部でいい。ただそんな思考を紡ぎ続けていくだけでいい。そんな僕をもしも、掘り出してくれる人がいたなら、骨董品みたいに家のどこかに飾ってくれてもいいし、出来れば話相手にでもなって欲しいと思う。

こんなアルバムを最後まで聞いてくれた君と話がしたいんだよ。

だから、今度は君の物語を聞かせて欲しい。僕もまた、次の30年が経ったら、この曲の続きを作ってみたいと思うから。それまで生きて物語を聞かせておくれ。約束ね。


本当に最後まで聞いてくれて、読んでくれてありがとう。

それじゃあ、またどこかで。


12/15 追記

この曲のMVを現在制作中です。かつて僕が住んでいた街の風景をただ流すだけのMVになる予定。だけど、曲が長すぎてまだ素材が足りないから、年明けてからもまた撮影に出歩くつもり。

本当はこのセルフライナーノーツと一緒に公開したかったんだけどね。

まだ「埋没」というアルバムは完成していないのかもしれない。音、文章、そして映像。自分で出来る範囲の物だから大した物は作れないと思う。だけど、それが僕なので。

また思い出したらでいいから、このアルバムを聞いて欲しいし、ライブにも来て欲しい。

それじゃ、長くなったけどセルフライナーノーツはこれで終わりです。今後また何かしらここで文章は書くつもりなので、お楽しみに。

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