アルバムの前半を締めくくる曲。配信では何度か歌ってるけど、YouTubeにもデモを上げてない未発表の新曲ですね。ここまで聞いていて眠くなったら、イヤホン外して寝てもらって大丈夫。続きは明日聞いてください。おやすみ。
昨年、新メンバー決まって「よっしゃ!曲作るぞ!」ってなって、初めに出来たのが確かこの曲。この曲を作る前は、僕は音楽をする気が起きず、ゲームを作ったりしていたのでかなり久しぶりに作れた曲だったように思う。
仕事がしんどくて、音楽のモチベーションも下がってた頃。久しぶりに仕事が早く終わった帰り道。家の近くの交差点の信号を見上げると、通りの向こうの山の背後へ落ちて行く夕陽が眩しくて思わず目を細める。車内には聞き飽きたロックミュージック。逆光で赤も青も分からない信号機。いつまで止まっていればいい?そもそも車通りの少ない田舎道。止まってる意味あるのかよ。
沈んでいく夕陽が一瞬、朝焼けのように見えた。そんなわけないのに。僕の人生もこれから沈んでいくだけなのだろう。あの日見た朝焼けはもう、見る事は出来ない。あのバンドは確かに僕の青春だった。明けて行く夜に怯えながらも、僕は必死で抗った。そして気付いたらもう夕方だった。
僕の中で何かが終わった瞬間はいつだったんだろう。
憧れのバンドと対バンした時。詐欺に遭って実家に逃げ帰った時。弟の手術の為に活動を休止した時。メンバーが抜けた時。もしかしたら、初めから終わっていたのかもしれない。終わる事だけが確かなこの世界で、初めから終わりに身を委ねて日々を揺蕩う。今も結局はその大きく緩やかな流れの途中で、数メートル先に滝が待ち構えていても、僕らはそれを知る術もなく流され続けるしかない。息継ぎも上手く出来ないまま、川底に転がる無数の石ころのように僕らの人生は誰にも知られる事はない。そんな事を考えながら沈んで行く夕陽を見ていると、なんだか涙が滲んで来て本当に何も見えなくなってしまった。だけど、その景色は美しいと思えた。
こんな曲を書きたいと思った。
後続車も対向車も歩行者もいない。赤も青も関係ない。さっき流れていた曲が終わって、ドラムのカウントで次の曲が始まる。
僕は涙をぬぐってアクセルを踏んだ。
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