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  • 執筆者の写真nigetasakana1231

下書き

今回のアルバムで1番古い曲なんじゃないかな。「それでも世界が続くなら爆破大作戦2」というイベントが開催された時に、100リツイートいったらオープニングアクトで10分だけ歌わせてもらえるという企画をやったんだけど、みんなのおかげで無事10分もらって2曲演奏した内の1曲。だから、とても思い出深い曲ではあるんだよなぁ。当時はバンドでまだ合わせていない新曲として披露して、結局数年経ってもバンドで合わせる事はなかったんだけど、弾き語りではたまに歌ったりしてた。バラード曲ばかりで食傷気味という理由もあったんだけど、結局良いアレンジも浮かばず陽の目を浴びさせてあげられなかった不憫な子。


僕はよくツイート(ポスト)しようとして、やめる事が多々あるのだけど、キャンセルを押したら「下書きに保存しますか?」と聞かれるので「はい」ととりあえず答えておく。

しばらくして、ふと下書き一覧を見ると、言えなかった言葉達がずらーっと軒を連ねてこちらを見ているという光景が出来上がっている。それは確かに自分自身がスマホをタップして入力した言葉達なのだけれど、なんだか自分で書いたとは思えないくらい稚拙で考えが浅く、凝り固まっている文章で、その時は本当にどうかしていたんだなと後になったら投稿しなくて良かったと思う事が多いのだが、実はその言えなかった言葉にこそ、自分の本質があるんじゃないかとも思うのだ。


これを言ったら、ある一部の人達を傷つけてしまう。とか。これを言ったら、こういう思考の人からはメンヘラと言われて嫌われたり心配かけるかなとか。表現の自由とは言うけれど、僕は人一倍、他人の反応を気にするタイプで、心ない暴言を吐ける人の心情が正直分からないし、逆に「死にたい」とか友達や家族を心配させるような言葉もあまり言いたくない。ついつい、どうでもいい面白いのかも分からない微妙な事をツイートしてしまうし、自分の思考を呟く時はなるべくツリーを長くして色んな逃げ道を作った上で、何度も内容を読み返してからツイート(ポスト)ボタンをタップする。僕は自分の考えが絶対正しいとか、それは100%間違っているとか断言することを避けているし、断言する人が苦手だし怖いとも思う。何か意見を書いても、最後はなんかフワっとした感じで締めくくる事が多い。


言えなかった言葉にこそ本質があるっていうのは確かに間違いはないんだけど。その本質が良い物なのか悪い物なのかはまた別の話で、「本質=素晴らしい物」ではない。あくまで僕の考えだけど、その自分の本質をより良い物に変えていく事が、人が思考を繰り返す理由ではないだろうか。

だからこそ、自分だけはその稚拙で浅はかな下書きを忘れてはいけないんだと思う。何故、その言葉が言えなかったのか。それは、きっと心のどこかで自分がその意見に納得していなかったり、自分の「死にたい」よりも他人がそれを見て心配する事を想像したからじゃないのか。だから言えない弱い自分が情け無いなんて、嘆く必要性はなくて、それは誠実で優しくありたいという無意識の自制で、自分が尖った意見を言って注目されるよりも、波風立てない事を優先したかったからじゃないのか。


その言えなかった言葉は自分だけが覚えておいて、わざわざ誰かに見せる必要はなくて、その言葉の上に「より思考を重ねた真理に近い自分の哲学」を生み出して行けばいい。そして、その繰り返しは一生終わる事はない。

この曲はまさに、そんな曲で。コードも歌詞も稚拙だし、僕だけが覚えてればいい下書きなんだ。だけど、今回こうやって改めて君に聞いてもらいたいと思ったのは、言えない事は悪くないんだよって言いたかったのと、どうしても言わなきゃ壊れてしまうくらい心が弱ってるなら気にせず言った方がいいよって事の両方を伝えたかったから。

いや、伝えたいなんて上から目線で何様だよって感じだね。あくまで、僕はそう思うって事だけをここに置いておくから分別して持って帰っておくれ。

ただ、僕はこの曲を作ったから僕は今生きているし、死にたいと口にする事が、人を生きながらえさせる事もあると思うから。

君だけは自分の下書きを覚えておいて欲しい。

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